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渡辺省亭とパリ万国博覧会、起立工商会社

渡辺省亭と万博

 

2021年 渡辺省亭の回顧展が開催されています。(東京・岡崎)

seitei2021.jp

 

渡辺省亭(1852-1918)は、東京神田の生まれ。

洋画家の山本芳翠らと共に1878年パリ万博開催にあたりパリに派遣されその後しばらくパリに滞在しました。パリでは3回目の開催となる万博です。

 彼の水墨水彩画にドガは驚嘆し、万博出品作品はイタリア人の印象派画家ニッティスが購入しました。

渡辺省亭は、1876年フィラデルフィア万国博覧会に、起立工商会社から出品した記録があります。

アメリカ、フィラデルフィアでは1876年5月10日~11月10日にかけて万国博覧会が開かれました。起立工商会社からの出品の記録に渡辺省亭の名があります。

『米国博覧会報告書』第2巻「日本出品目録」(米国博覧會事務局、1876年)

日本出品区分目録

新工漆画帳 3冊 柴田是真発明

水彩画帳 渡辺省亭

出品主 起立工商会社 

 

これまでの研究では1878年起立工商会社に職を得て1878年パリ万博に派遣されたという研究がありますが、それ以前のフィラデルフィア万博にも起立工商会社から出品していました。パリ派遣のために正式な社員となったのでしょうか。起立工商会社は輸出用の美術工芸品(陶磁器、漆器、七宝、銅器など)を扱いましたが、パリ万博を機にパリに支店を出します。起立工商会社については、また別の記事にしたいと思います。
 

明治25年から29年までの間に、ロンドンのギャラリーで個展や二人展が4回開催されてるほか 1909(明治42)年に竣工した東宮御所(現在の迎賓館赤坂離宮)「花鳥の間」「小宴の間」にある七宝額の原画も担当しました。七宝は濤川惣助の作です。

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