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ユトレヒト大学(オランダ) キリシタン版の発見

ユトレヒト大学(オランダ)で、これまで知られていないキリシタン版が見つかり、公開されています。

 

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キリシタン版は、イエズス会によりもたらされた印刷機による活字印刷本でこれまで32種類が知られていますが、今回発見されたものはそれまでのものとは違うようで、1595年以前と、キリシタン版としても初期の物のようです。

 

objects.library.uu.nl

キリシタン版の研究では、日本アジア協会の会員であり、またケンブリッジ大学をはじめとしたイギリスの図書館に蔵書を寄贈した外交官アーネスト・サトウが The Jesuit mission press in Japan 1591-1610『日本イエズス会刊行書目』1888年( 明治21)を刊行し、現存する14種のキリシタン版についての調査を著しました。(後にさらに2種追加)

小秋元段「特集「ナショナリズムの表現」 : 古活字版の淵源をめぐる諸問題 : 所謂キリシタン版起源説を中心に」『国際日本学』8、2010年、221-237頁。 

宇野有介「アーネスト・サトウの「きりしたん版」研究:『The Jusuit mission press in Japan 1591-1610』を題材に」(『比較文化史研究』12、2010年、57-73頁。など。

 

HPによると、このキリシタン版には ”ベルリンのクリスチャン・ラウエ。1644年1月15日"という署名があります。ラウエはユトレヒトの東洋言語学の教授でしたが、彼は1649年、オックスフォード大学マグダレンカレッジのフェロー兼司書となり、その後スウェーデンのクリスティーナ女王からウプサラ大学の東洋言語学教授に任命、その後、ストックホルムで王立図書館司書となったようです。

 

ラウエがいかなる経緯でこのキリシタン版を入手したか、さらにはオランダの東洋言語学講座について、またウプサラ大学の東洋言語学講座、など彼の略歴と、携わった地の東洋言語学講座の歴史、歴代の教授など、17世紀のヨーロッパの東洋学についてもさらに研究していこうと思います。