在外日本関連コレクション 博覧会/博物館 調査研究 

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1862年第2回ロンドン万国博覧会とオールコック

1862年第2回ロンドン万博で日本の展示は駐日イギリス公使サー・ラザフォード・オールコックが日本滞在中に集めたもので、614点にのぼります。

 

漆器類、刀剣甲冑などの金属製品、陶磁器、かごなどの民具、コマなどの玩具、書籍、肖像画、石版画、金蒔絵の品、象牙の根付などでした。

オールコックの出品物のリストです。

R.Alcock,International Exhibition, 1862. Catalogue of Works of Industory and  Art, sent from Japan, William Clowes and Sons, London,1862.

 

オールコックの日本滞在期間1859-1864年のあいだ(1862年に一時帰国)著書に『大君の都』(1863年)があります。

「わたしは、漆器や磁器や青銅製品の見本―それらの多くはひじょうに優良かつ珍貴なものであるーを集めて、ヨーロッパの最上の細工品と綿密な比較テストにどこまで耐えうるかをしらべるために、大博覧会へおくった。その結果は、けっして日本人の名誉を傷つけることにはならなかった、と思う。」(オールコック『大君の都―幕末日本滞在記―』中(岩波書店岩波文庫〉1966年)、42頁。)と述べています。

 

第二回ロンドン万博 でのオールコックの出品物ついては、すでに研究があります。

宮内悊「第二回ロンドン国際博覧会と日本の出品物について」(『九州芸術工科大学

一般・基礎教育系列研究論集』(4)、1979年、41-108頁。

馮赫陽「初期万国博覧会に見られる「中国趣味」から 「日本趣味」への趨勢について」

『東アジア文化交渉研究』(3)、2010年。)511-528頁

楠本町子「1862年第2回ロンドン万国博覧会における「日本」(『愛知淑徳大学論集』(40)、2015年、55-72頁。)

西垣江利子「『日本の美術と工藝』にみるラザフォード・オールコックの日本美術観について」(関西大学大学院文学研究『千里山文学論集』編集委員会編『千里山文学論集』(97)、2017年、73-92頁。)

 

さらには、この会場にて日本製品に刺激を受けたクリストファー・ドレッサーが、オールコックから展示品をかなりの数買い取っています。

西垣江利子「江戸の工芸デザインとクリストファー・ドレッサーの日本趣味―ラザフォード・オールコックの日本美術コレクションを中心にー」(『日本デザイン学会研究発表大会概要集』(65)、2018年、36-37頁。)

 

オールコックは、『大君の都』以外にも、『日本の美術と工藝』を1878年に刊行しました。

(翻訳は、井谷善恵訳、ラザフォード・オールコック『日本の美術と工藝』(小学館スクエア、2003年。)

 

オールコックのコレクションについては大英博物館などでもオンラインでみることができます。

Collections Online | British Museum

 

彼が集め、万博で展示した紙のコレクションはヴィクトリア&アルバート博物館にあります。

和紙コレクション パークス、オールコック、シーボルト - 在外日本関連コレクション 博覧会/博物館 調査研究