北斎の「諸国瀧廻り」、「諸国名橋奇覧」などが面白さとダイナミックで印象に残りました。
今回の展覧会での面白さは、大英博物館に所蔵されている日本関連文物について、北斎、そして日本美術との関係からコレクター、日本研究者の紹介・彼等の業績、コレクションについても紹介がなされているという点です。
取り上げられたのは、ウィリアム・アンダーソン(1842-1900)、オーガスタス・ウォラストン・フランクス(1826-1897)、アーサー・モリソン(1863-1945)、チャールズ・ヘーゼルウッド・シャノン(1863-1937)、ローレンス・ビニョン(1869-1943)、ジャック・ヒリアー(1912-1995)です。
北斎作品の展示のキャプションにも、アンダーソン・コレクションなど旧蔵者がわかるようになっていたり、それぞれのコレクターについての解説(執筆した研究書)なども著書の展示とともに紹介されるなどでした。
医師であるアンダーソンは、1873年に御雇い外国人として来日し海軍病院に勤務するかたわら日本で美術品を蒐集しました。帰国後、1886年に『日本絵画芸術』(‘The Pictorial Arts of Japan')を出版するなど日本美術を体系的に研究、収集した人物でもあり、1891年にロンドンに日本協会が設立されると初代理事長をつとめました。
大英博物館学芸員であったフランクスがアンダーソンコレクションが大英博物館に収蔵される仲介を担い、収集家モリソンは当時留学中であった南方熊楠と交流があったなど、今回紹介されているコレクターとコレクションについてはまた詳細を別記事で記したいと思います。