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1873年ウィーン万国博覧会と日本展示① 世界博物館

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ウィーン万国博覧会

1873(明治6)年5月1日~11月1日にかけて、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世25周年記念として、ウィーンで万国博覧会が開かれました。

会場のプラーター公園中央には、産業館としてロトゥンデと呼ばれた直径108メートル、高さ84メートルにおよぶ鋳鉄製ドームが建てられました。(1937年消失)。ヨハンシュトラウス2世は「ロトゥンデ カドリーユ」を作曲、2017年のウィーンフィルハーモニーによるニューイヤーコンサートで演奏されています。

 

この産業館がウィーン万博のメインパヴィリオンであり、開催国であるオーストリアの出品物が館内の出品物の大半をしめました。

この万博は皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世25周年記念しており、23か国が参加、出品部門は26、会期中の総入場者数は約722万5千人にのぼりました。

他の参加国は、産業館を中心としてオーストリアの東の国は東に、西の国は西に、例えば西側にはスウェーデンギリシア、ベルギー、アメリカ合衆国が、東側にはロシア、日本、中国、タイが配置されました。

ウィーン万博では浮世絵、瀬戸・有田などの陶磁器、七宝など美術工芸品、生糸、西陣織など各地の産物を中心に出品物が集められ、人目をひくような巨大な物を展示するのが良いというシーボルトの助言から、名古屋城金のシャチホコや、高さ185センチもある有田焼の花瓶なども出品され、日本展示室の入り口に置かれました。会場内の日本区域には鳥居や神社、日本庭園がつくられ、池には橋がかけられた。日本の職人による建設中の作業自体が観客に好評で、皇帝フランツ・ヨーゼフ一世と皇后エリーザベトが庭園を訪れ、橋の渡り初めをおこなったり、欧米を視察中であった岩倉使節団は会期中の6月4日にウィーンに到着、5日には岩倉具視伊藤博文使節団の一行が万博会場を訪ずれています。

 

現在、ウィーンの世界博物館(Weltmuseum)の日本展示では、ウィーン万博の出品物を中心に見ることができます。

www.weltmuseumwien.at

 

当時会場内で展示されており、近年復元された大名屋敷も展示されています。

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世界博物館にあるウィーン万国博覧会の大名屋敷(筆者撮影)


それ以外にもウィーン万博の日本出品物、そして日本と関連の深いシーボルト親子のコレクションも展示されています。

2020年にはシーボルト父子のコレクションの特別展も開かれました。

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2020年シーボルト展パンフレット(筆者撮影)