在外日本関連コレクション 博覧会/博物館 調査研究 

在外日本関連コレクションの調査・研究報告 https://researchmap.jp/mamiko

イギリス ロイヤルコレクションの日本文物③ 増上寺 台徳院殿霊廟

 

イギリスのロイヤルコレクションの中には、1910年にロンドンで開催された日英博覧会の出品物「増上寺台徳院殿霊廟模型」があります。この模型は博覧会終了後、ロイヤルコレクションに加えられましたが、修復を経て、増上寺に長期貸出され、2015年4月より公開されています。

 
国際的な博覧会の開催は、早くから政府の中でも協議されましたが、日清・日露戦争後にイギリス・ロンドンで1910年に日英博覧会が開催されました。
日英博覧会はその名称から2国間での博覧会という響きですが、実際はキラルフィーという興行師の企画によるもので、日本側のみが政府による公式参加でした。また長谷川如是閑などが現地を訪問しますが、会場内に作られた日本人村(日本人の住まいを再現し、なかで工芸品作成を実演)などを見て、見世物のようになっていると不満を著し、国会でも議論がされました。
 
会場内では、日本の生産物、日清・日露戦争後ということで新たな版図となった植民地における産物などの展示ほか、日本村が作られて日本の工芸品がその場で作られる実演販売が行われたり、相撲興行(初の海外公演)などもありました。
伊藤真実子『万国博覧会と明治日本』。)
その展示の一つが、日本の建築物の紹介として実在の「増上寺台徳院殿霊廟」のミニチュア模型です。
そのほか、会場内には西本願寺の勅使門(唐門)の複製が建てられました。博覧会終了後にキューガーデンに移築され、現在もジャパニーズランドスケープ区域内似て公開されています。
 
建築模型は、ウィーン万博の展示品にも大名屋敷模型がありました。これは現在ウィーンの世界博物館で展示されています。