在外日本関連コレクション 博覧会/博物館 調査研究 

在外日本関連コレクションの調査・研究報告 https://researchmap.jp/mamiko

ウィーン万国博覧会と日本③ 日本からの出品物の現在ー応用美術博物館(MAK)

ウィーン万博の日本出品物は、展示終了後、イギリスのアレキサンドル社が購入した分はイギリスへ送られましたが、ウィーンにも数々の出品物が残り、現在も世界博物館、応用美術博物館にて展示されており、見ることができます。

ウィーン万国博覧会と日本② 日本の展示品の現在 世界博物館、トルコ、有田、東京国立博物館 - 在外日本関連コレクション 博覧会/博物館 調査研究

第1回の万国博覧会は1851 年にロンドンで開催されました。万国博覧会それ自体は、産業革命とそれにともなう帝国主義の拡大―植民地政策の延長上にあります。自国(含む植民地)の製品、産物が他国より多く、かつ優れていることを自負するイギリスが第1回というのも時代の状況をあらわしています。

 

そして万国博覧会は、各国の同じ種類の製品が並んでいる競争の場であり、そこから見ることで学ぶ場でもありました。博覧会は、時限的であるため、出品物を恒久的に展示し、見て学ぶ場、施設が必要であるということから、工芸品の博物館が創設されました。ケンジントン博物館、現在のヴィクトリア&アルバート博物館です。また、博物館の展示だけでなく、技術向上のための教育施設も併設されることが考案されたほか、同様の博物館が他国にも作られます。その一つが、1864年に開館したオーストリア帝立=王立芸術産業博物館、現在のオーストリア応用美術博物館(MAK)です。ほかには、ベルリンにはドイツ産業博物館が、ハンガリーにはブタペスト国立工芸美術館が創設されました。

ブタペスト国立工芸美術館陶磁器名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ - 在外日本関連コレクション 博覧会/博物館 調査研究

【参考文献】

天貝義教「ウィーンのオーストリア応用美術博物館 」池田祐子編『西洋近代の都市と芸術4 ウィーン 総合芸術に宿る夢』(竹林舎、2016年)所収〉

池田祐子「ベルリン工芸博物館と日本 ―東アジア美術館設立をめぐって」(『立命館言語文化研究』(31(4))、137-149頁。

 

 

オーストリア藝術産業博物館には、ウィーン万博の日本からの出品物が収蔵され、展示されていましたので、その後継である応用美術博物館にも日本の出品物の美術工芸品が収蔵、展示されています

 

現在、応用美術博物館(通称MAK)の日本展示は、この写真のように、床にじかに置かれて、木材でしきりられたブースにあり、透明なガラスで見ることができます。

デザイナーの「日本は床に(畳?床の間??)置いてみる文化なので、そのようにした」という意図らしいのですが。。。展示物を見るのにかがみこまないといけません。

大香炉 大島安太郎作が中央にあります。

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大香炉(中央) 大島安太郎作 ウィーン万博出品物



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MAK応用美術博物館 現在の日本展示ブースより(中央にある香炉)

MAKにはハインリッヒ・フォン・シーボルトによるコレクションも収蔵されています。

 

ヨハネス・ヴィーニンガー「ウィーン、オーストリア応用美術博物館(MAK)所蔵のハインリッヒ・シーボルト・コレクション」(日高薫責任編集『異文化を伝えた人々Ⅰ』(臨川書店、2019年))

ヨハネス・ヴィーニンガー「ウィーン応用美術博物館所蔵のハインリッヒ・フォン・シーボルトによるコレクション」(日高薫/ベッティーナ・ツォルン責任編集『異文化を伝えた人々Ⅱ』(臨川書店、2021年))